ぶらり宿六ひとり旅 028 |
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12月15日 【パリ】 mail 7014:unp063 su 0:10am 15 Paris おはよう。そちらは朝ですね。 こちらは真夜中です。 夕方から、モンマルトルの丘に登りました。 ピカソやゴッホが住んでいたあたりです。 洗濯船というアパートが彼らの根城でしたが、その跡のすぐ近くのレストランで、サーモンのパテとフィレステーキを食べました。 もちろん、ワインも。 英語が少し通じたけど、食べ物について、まるで分からない。 向こうに任せて、しかし、複雑なものが頼めない。 ははは、こういったときは、逆にコースで頼んだ方が面白いかもね。 明日は、そうしてみよう。 アラカルトなんて、メニューが読めないのに無理だ。 モンマルトルの丘の辺りの小さなレストランは、大したことはないけど、昔の彼らのことを何だか懐かしみながら過ごすことができるから、とてもいい。 この下町は、クリシー通りという歌舞伎町の他は、坂を登っていくと、結構いい店がありそうだ。 シャンソンの古い店もあるようです。 シャンゼリゼあたりの高級店もいいけど、この下町の感じは結構ハードなところもあるし、ちょっといいよ。 ところで、調べてほしいんだけど、いまフランは24円くらいだよね。 どうも金銭感覚がつかめない。 例えばスコッチソーダが50〜70フランなんだ。 つまり、1200〜1500円、どうも納得がいかない。 ここの場所のせいなのか、それともスコッチは高いのかな。 ビールだと、ここのホテルのバーでは20フラン、500円くらい。 もしかすると、ダブルの値段なのかな。どうも金額的に倍の感じがする。 明日は、またルーブルにも行きますが、できれば小劇場をのぞきたい。 時間と場所がうまくいけばね。 もう、日にちがなくなって、どこまでのことができるか。 パリはおまけみたいなものなので、と考えていても、さてね。 そういえば買物を頼まれていたね。 英語は結構通じるんだが、僕の語学力が、フランス語のことも気にしているから、どうも怪しくなっている。 では、また。 ほんとに回線状態が悪い。 君のメールも二度読み直した。 それでも、最後の方の行が化けて読めなかった。 【パリ】 mail 7014:unp063 su 6:40am 15 Paris さて、今日は早起きをしてみました。 えーと、協力してください。 どうも、回線の状態が悪いので、1行35字程度で改行してください。 僕のがそうなっているでしょう。 それと、メールを短めにして。 僕もそうします。 文字化けに対処するにはこの方法しかない。 今日は予約確認の電話のことが気にならないから、ゆっくり歩き回れます。公衆電話は、コインを入れるものはたいてい壊れているみたい、また少ないんです。昨日はそれで、急いで帰ったもので。 鏡子に聡、とてもおりこうなんだって? とうさん、たのしみだな。 もうじきかえるから、げんきで、がんばってね。 【東京】 To: LBH050 (10084:LBH050) From: UNP063 Delivered: Thu 15-Dec-88 7:05 GMT Sys 7014 (26) Subject: 4:00pm Mail Id: IPM-7014-881215-063850001 Acknowledgment Sent おはようございます。フランを調べましたよ。 1フランが21円だそうです。 本日、危うく大変なことになるところでした。 車の陰から自転車に乗った親子が飛び出してきたのです。 保育園からの帰りの裏道でスピードは出していなかったので、なんとか止まってくれましたが、ほんとに恐かった。 相手の人も、いつもはあまり車が通らないので、ついそのまま渡ろうとしたのだと思いますが、こちらもまるで気がつきませんでした。 何度も謝ってましたが、こちらもびっくりしてしまって、よかったですねーというのがやっとでした。 お互いに気をつけましょうねといいましたが、ほんとうに気をつけないといけません。 それと、この前のメールの最後のほうですが、せっかく家の中がうまくいってるといったとたん、お義母さんと大げんかする夢を見てしまったというものでした。 いま荷物が届きました。 鏡子のドレスが入っているのと、おもちゃがいろいろ入っているものです。きっと大喜びすると思いますよ。 それとあの帽子、変わった恰好で面白いですね(イギリスの雨天用のもの)。 クリスマスのものは内緒にしておいたほうがいいかしらね。 ではまた夜にメールを書きます。 【東京】 To: LBH050 (10084:LBH050) From: UNP063 Delivered: Thu 15-Dec-88 14:15 GMT Sys 7014 (22) Subject: '11:15 midnight' Mail Id: IPM-7014-881215-128340001 Acknowledgment Sent こちらの17日、土曜日の15時か ら16時の間、メンテナンスとかで回 線がつながらなくなるようです。KD Mからのお知らせのような形でメール が出てました。この間はおやすみとい たします。 さて、うまくつながらない上に、メ ンテナンスなんて、あんまりですね。 そちらのこともいろいろ聞きたいけ ど、今の回線状態ではちと無理ですね。 まあ、帰ってからのお楽しみにしま しょう。 子供たちがプレゼントを大変に喜ん でましたよ。聡はスコットランドの人 形がお気に入りです。おねえちゃんは もちろんドレスをずっと着てましたよ。 いろいろと出てくるので袋の中を見 るのが楽しみだったようです。 では、またね。 みんな、とっても元気です。 眞弓 (前のメールを受けて、半角で35字くらいをめどに改行している) 【パリ】 mail 7:30pm 15 Paris not-send (この手紙は回線状態が悪いので送らなかったもの) 今日は早くから出ましたよ。 また、歩きました。 まず、ポンピドー・センターというところの場所を確認に行きました。ここには、モダン・アートの美術館があるのです。 12時から始まるので、カフェ・オレとフランスパンを食べぶらぶらしてました。 この近所にフォーラム・ド・オールという、シュールな公園や建物、それに地下が一大ショッピング・センターになっている場所があり、そこになんとブルトン通りだとか、ロートレアモン・テラスなどというものがあるのです。 いやあ、まいってしまった。 全然そんなこと知らなかったので、ただ変わった公園に遭遇したと思って何気なく公園内の表示を見てみたら、ロルカだとかブルトンの名が出ていたのです。ポエジーの資料館などもあるようなのですが、どこもまだ閉まっています。 それで、ここにも午後から改めて来ようと決め、先にシテ島に渡り、ノートルダム寺院を見てから、またルーブル美術館に行きました。 今日は、ギリシア、、ローマ、エジプトの彫刻類です。 エジプトの物はさすがに多い。イギリスでもたっぷり見ているけど、ここもなかなか。 しかし、さすが疲れました。また2時間くらいで引き揚げました。 実は、ここで版画の原版からのプリントを売っているので、美術館のマークが入るので価値はありませんが、何か買おうかなと思っていたのです。 しかし、現代画でもと思っていたのですが、どうも買う気が起きるものがなく、諦めました。 次に、先ほどの現代画を見にポンピドー・センターに行き、途中でチーズとハムのクレープを食べ、また2時間ほど、ピカソやマチス、ダリ、カンディンスキー、ミロ、現代のオブジェなどたっぷり見ました。 今日は、はっきりいって、こちらの方に大感動しました。 1万5000円くらいのカタログがありましたが、さすが大きくて、もちろんフランス語なので、買うのを諦めました。 替わりに英語版の小さな案内書を2冊買いました。 ここも、ポスターなど、結構な値段で売っていましたが、刺激を受けた絵のものがないのでやめました。 それというのも、今日は、絵は現物を見るべきだと強く感じたものがあったからです。 これは、現代的な美術の問題ですが、絵はオブジェであり、物であり、塊なのだということです。 もう、平面とか、描くとかの問題ではなく、あることであり、ないことであるということです。 そのような意味で体験するべきだというふうな言い方でいえるかな。 具体的な絵はカタログを見てください。 帰りは、地下鉄に乗ろうとしたのですが、駅が見つけづらい。 結局、また歩いて帰ってきました。 本当は、シテ島からルーブルまで切符を買って、構内に入り、電車を待ちながらベンチでうとうと居眠りしていたのですが、なかなか電車がこない。 はっきりは分かりませんが、何かトラブルがあったようで、止まってしまったようです。 これで、乗り損ねていたのです。 そういえば、僕がロンドンのビクトリア駅からドーバーに向かった日の同じ午前中に、同じビクトリア発の列車が大事故を起こしたようですね。 あのときは、どの列車に乗ったらいいのか、結構まごついていたので、間違ってその列車に乗っていたら事故に遭遇したかも知れませんね。 僕の乗った列車は空いていて、コンパートメントで二日酔いにもかかわらず、ひとりでのんびりビールを呑んでいましたな。 長くなりましたので、これは送れませんね。 この手紙は、帰ってから見てもらうことにしよう。 *** 前頁 次頁 |