緑字斎一家、アメリカ大陸横断記07

緑字斎一家、アメリカ大陸横断記　7月27日
7月27日　今朝も徹夜明けのぼんやりした頭で出発することになった。　CortezからUS-160NORTHを右に折れて、これまで道路と並行して現れていた、頂上が平地になっている山の中に入る。これが、赤い断崖の険しい岩肌を見せながら、地平線を遮断するように跡切れ跡切れに続く台地、Mesaといわれるここの特有の地形だ。　そして、このMesa Verde N'l Parkには西暦750年から1200年頃に勃興して突然消滅したインディアンの遺跡があるのだ。　崖にへばりつくように繊細で高度な建築物が残されている。その幾何学的な建築法はまるで近代のもののように思え、クリフの岩の層の重なるような色の変化と調和し、何ともいえず不思議な厳かさを生じさせている。　穴居の跡や遺構もあちこちに散在するが、やはり向こうに見えるMesaの断崖の岩壁の中に造られた岩石都市が美しい。　しかし、なぜ岩肌の中にレリーフのようにいくつもの美麗な建築物群を造り、まるで猛禽類の巣のような都市を造り上げなければならなかったのか。　またそれは、引き裂かれた大地を思わせるMesaの断崖から、実はアメリカ大陸の古代とは地下の王国にあるのではないかとすら幻想させるものだ。　グランド・キャニオンの断崖の底にはいまだにナバホ族の居留地がある。　彼ら、アメリカ大陸の先住文化には地の底の、あるいは地の中の、いわば岩石の中の宇宙といえるものがあるのではないか。そういえば、このあたりでよく採れる内部が空洞になった石の内部は、割られることによって水晶や金属などの美しい光を初めて発するのである。これは、この大陸の起源にまつわる象徴的な物質ではないのか。　小生は、このアメリカ大陸横断とは、じつは地底探検ではないのかという妄想にとらわれてならない。　けれども、これはワイフとも話したことだが、我々がより熱くなるのは、どうも人間の造った文明とか文化とかよりも、とても空想もできない自然自体の突然の現出というようなものであるようだ。　だから、たとえ謎に充ちたMesa Verdeの遺跡でも、これは涙が出るような、そういう体験とはいささか異なると感じられたのだ。　もちろん、人間というものはまた格別の面白さがあるのだが、小生が遺跡などに興味があるのは、人間の作りだした建造物という文化とか、文明の結果にあるのではなく、人々の、それぞれの魂がそこに注ぎ込まれているというそのことにある。小生は、何らかの共同性の下に人々の魂を閉じこめたものに興味を覚えているわけではない。　だから、大都市での人々の暮らしぶりは非常に興味があるが、大都市の都市計画や行政府の法制、施設などにはあまり関心がいかないのだ。　この夜は寝不足もあり、近くのDurangoという町に泊まる。　ここは西部劇のようなメイン・ストリートのある町で、町の中を蒸気機関車が走り抜ける。　この日、前日のCompu-Serveへのアクセス成功につき、その間の事情を日本のネットークに送る。以下の一文である。　いま、マウンテン・タイムで7月27日午後9時。　いろいろご心配かけましたが、Compu-Serveにようやく入れました。　原因はモデムをBell規格に切り換えなかったためでした。　また、モーテルのルームテレフォンから電話するときに、モーテルや地域によってかけ方が違うことがあり、それでも悩みました。遅くに着いて捜したモーテルには電話がついてないこともあり、電話のないモーテルに諦めて宿泊する場合もあります。　ほぼ取り外しのできるモジュラージャックスタイルで、蓑虫クリップはまだ一度だけしか使っていません(後に、やはり蓑虫クリップはたいへん重宝した。ご存じと思うが、使い方は送話口のキャップを外し、さらに送話装置を外し、そこに現れる2極からラインを引く。これはアメリカから送っているので、このような情報は問題にはならないでしょうね)。　あと、電源ですが、手持ちの変圧器は壁に嵌め込まれた2個のアウトレットを塞いでしまい、場合によってはTVなどをつけられない場合もあるので、二股のアウトレットを別に購入し、使用しました。　普通は、9をプッシュして、同一エリアコード内の番号(つまり市内電話、ローカルコール＊注　後で分かったことなのだが、ローカルコールはその町のものだけを指す。つまり、同一エリアコードであっても、その町以外のものは市外通話、ロング・ディスタンス・コール。この違いは支払いの時に大きく出てくる。また、モーテルやホテルでは電話料の支払いのシステムの関係で、さらに複雑な問題が出てくる。例えば、ダイヤルインしてから、オペレーターがそのモーテルのルームナンバーを確認してから繋ぐなど。これなどボイスに変わるので、自動ログオンはできない。それと、完全に駄目な古いタイプの電話がある。モデムの信号がどうしても拒絶されるものだ。ダイヤル式のものをコンピューターで管理しているようなのだが、最初の外線に繋ぐタイミングがとれない。手動切り替えでやればいいのだが、それができるソフトを不注意からアロケーションエラーで駄目にしてしまった。だから今は、ですく・きっとだけでやってます)なのですが、これが、9+1+同一エリアコード内の番号、あるいは9が8の場合などあります。同一エリアにアクセスポイントがない場合はエリアコードが必要になりますが、これも1が必要な場合があります。また、内線の呼び出しの間隔はアメリカの場合は割に早いようです。「ATD9,,1,,242-9819」などとなります。　それとモデムの送出レベルも上げた方がいいみたいです。　800-848-4480がCompu-Serveのインフォメーションのアクセスポイントのフリーダイヤルの番号ですが、これはCCITTでもアクセスできるので、つい大丈夫だろうと考えていたことと、TYMNET経由で入口までは入れることから、TYMNETの間接的なアカウント(TYMPASで獲得したID)でCompu-Serveにアクセスできないということだと思うのですが、それをCompu-ServeのアカウントもNIFTYを通して取得しているので、アメリカでそのIDでCompu-Serveにアクセスできないかも知れないと思ったこともあるのでした。　このインフォメーションサービスはなかなかいいですね。全米のアクセスポイントのリストから、さまざまのゲイトウェイのアクセス法など、なるほどというものです。　フリーダイヤルというのは、国外からはどうなるのか知りませんが、公開されているIDは「74,74」、passwordは「Network」です。　ここまで来るのは、結構大変なのですよ、ほんとに。これまでも、イギリス、フランス、ハワイ等で試行錯誤の連続でしたが、小生はこういう、象の鼻を触るようなことを通じて何ものかを獲得していくことが、大変に好きなのでありました。だから、旅というのはやめられないのです。　しかし、これでなんとかアクセスもでき、これまで夜のほとんどを電話と格闘していたことから解放されて、原稿を書くことに専念できそうです(そんなことがないのは、このアップロードが遅れていることから歴然ですね)。　しかし、すでに、Needles(24日発)-グランドキャニオン(25日発)-モニュメントバレー(Kayenta、26日発)-Cortez(27日発)-メサ・ヴェルデ(Durango、27日夜着)と旅は進み、それぞれ素晴しいものがあったのに、まだまとめることができません。　これから、書いていきますので、ご勘弁下さい。　いま、コロラドの快適なモーテルで、バーボンを呑んでいます。何千頭もの牛を追うカウボーイたちの姿を幻想しながらというわけです。　夏はまだまだ続きます。　　　　　　　　　　　緑字斎 #: 43596 S1/United States 27-Jul-89 21:02:09 Sb: #43569-Accross the USA Fm: Jerry, nyc 76606,2524 To: AKIRA KAMITA 71721,1645 (X) First of all, Welcome to America. And don't worry. Your English is fine and easily understood. I agree with you about the AAA. They are a not for profit company, and they their basic purpose is to help members. I'm surprised that you don't expect to visit New York City. Many people think that NYC is more fun than Chicago. It's bigger. Your trip sounds like much fun. #: 43609 S1/United States 27-Jul-89 23:21:05 Sb: #43569-Accross the USA Fm: Lan Sluder 76357,147 To: AKIRA KAMITA 71721,1645 (X) Your new route sounds great. Please log on often and tell us how your trip is going. --Lan Sluder #: 43612 S1/United States 28-Jul-89 01:21:43 Sb: #43569-Accross the USA Fm: Dennis Larson 75555,705 To: AKIRA KAMITA 71721,1645 Hi Akira! Glad you made in to the United States safely! Also glad to hear that you changed your route across the United States. You will be passing about 100 miles south of my home when passing through Minnesota. Do keep us posted on where you are. I know the area from Denver eastward the best and can give you additional information. The best advice I could pass on to you is that the western half of the United States has the most interesting places to visit. So take your time. After leaving the Grand Canyon, Colorado and South Dakota will be the nicest areas. And you will be seeing the best of the USA, THE GREAT WHITE NORTH!(Except its green now). Hope you have fun around the Los Angeles area. And about the advice on including New York City...on this place I have reservations about so I have no comment on. But here is some advice..if you do in fact decide to visit New York, do not drive there. It is well served by trains from Niagra Falls and other places in New York state. When in South Dakota, don't forget to visit Wall Drug in Wall, South Dakota. Dennis 前頁次頁閉じる

緑字斎一家、アメリカ大陸横断記　7月27日

　7月27日

　今朝も徹夜明けのぼんやりした頭で出発することになった。
　CortezからUS-160NORTHを右に折れて、これまで道路と並行して現れていた、頂上が平地になっている山の中に入る。これが、赤い断崖の険しい岩肌を見せながら、地平線を遮断するように跡切れ跡切れに続く台地、Mesaといわれるここの特有の地形だ。
　そして、このMesa Verde N'l Parkには西暦750年から1200年頃に勃興して突然消滅したインディアンの遺跡があるのだ。
　崖にへばりつくように繊細で高度な建築物が残されている。その幾何学的な建築法はまるで近代のもののように思え、クリフの岩の層の重なるような色の変化と調和し、何ともいえず不思議な厳かさを生じさせている。
　穴居の跡や遺構もあちこちに散在するが、やはり向こうに見えるMesaの断崖の岩壁の中に造られた岩石都市が美しい。
　しかし、なぜ岩肌の中にレリーフのようにいくつもの美麗な建築物群を造り、まるで猛禽類の巣のような都市を造り上げなければならなかったのか。
　またそれは、引き裂かれた大地を思わせるMesaの断崖から、実はアメリカ大陸の古代とは地下の王国にあるのではないかとすら幻想させるものだ。
　グランド・キャニオンの断崖の底にはいまだにナバホ族の居留地がある。
　彼ら、アメリカ大陸の先住文化には地の底の、あるいは地の中の、いわば岩石の中の宇宙といえるものがあるのではないか。そういえば、このあたりでよく採れる内部が空洞になった石の内部は、割られることによって水晶や金属などの美しい光を初めて発するのである。これは、この大陸の起源にまつわる象徴的な物質ではないのか。
　小生は、このアメリカ大陸横断とは、じつは地底探検ではないのかという妄想にとらわれてならない。
　けれども、これはワイフとも話したことだが、我々がより熱くなるのは、どうも人間の造った文明とか文化とかよりも、とても空想もできない自然自体の突然の現出というようなものであるようだ。
　だから、たとえ謎に充ちたMesa Verdeの遺跡でも、これは涙が出るような、そういう体験とはいささか異なると感じられたのだ。
　もちろん、人間というものはまた格別の面白さがあるのだが、小生が遺跡などに興味があるのは、人間の作りだした建造物という文化とか、文明の結果にあるのではなく、人々の、それぞれの魂がそこに注ぎ込まれているというそのことにある。小生は、何らかの共同性の下に人々の魂を閉じこめたものに興味を覚えているわけではない。
　だから、大都市での人々の暮らしぶりは非常に興味があるが、大都市の都市計画や行政府の法制、施設などにはあまり関心がいかないのだ。

　この夜は寝不足もあり、近くのDurangoという町に泊まる。
　ここは西部劇のようなメイン・ストリートのある町で、町の中を蒸気機関車が走り抜ける。
　この日、前日のCompu-Serveへのアクセス成功につき、その間の事情を日本のネットークに送る。以下の一文である。

　いま、マウンテン・タイムで7月27日午後9時。
　いろいろご心配かけましたが、Compu-Serveにようやく入れました。
　原因はモデムをBell規格に切り換えなかったためでした。
　また、モーテルのルームテレフォンから電話するときに、モーテルや地域によってかけ方が違うことがあり、それでも悩みました。遅くに着いて捜したモーテルには電話がついてないこともあり、電話のないモーテルに諦めて宿泊する場合もあります。
　ほぼ取り外しのできるモジュラージャックスタイルで、蓑虫クリップはまだ一度だけしか使っていません(後に、やはり蓑虫クリップはたいへん重宝した。ご存じと思うが、使い方は送話口のキャップを外し、さらに送話装置を外し、そこに現れる2極からラインを引く。これはアメリカから送っているので、このような情報は問題にはならないでしょうね)。
　あと、電源ですが、手持ちの変圧器は壁に嵌め込まれた2個のアウトレットを塞いでしまい、場合によってはTVなどをつけられない場合もあるので、二股のアウトレットを別に購入し、使用しました。

　普通は、9をプッシュして、同一エリアコード内の番号(つまり市内電話、ローカルコール＊注　後で分かったことなのだが、ローカルコールはその町のものだけを指す。つまり、同一エリアコードであっても、その町以外のものは市外通話、ロング・ディスタンス・コール。この違いは支払いの時に大きく出てくる。また、モーテルやホテルでは電話料の支払いのシステムの関係で、さらに複雑な問題が出てくる。例えば、ダイヤルインしてから、オペレーターがそのモーテルのルームナンバーを確認してから繋ぐなど。これなどボイスに変わるので、自動ログオンはできない。それと、完全に駄目な古いタイプの電話がある。モデムの信号がどうしても拒絶されるものだ。ダイヤル式のものをコンピューターで管理しているようなのだが、最初の外線に繋ぐタイミングがとれない。手動切り替えでやればいいのだが、それができるソフトを不注意からアロケーションエラーで駄目にしてしまった。だから今は、ですく・きっとだけでやってます)なのですが、これが、9+1+同一エリアコード内の番号、あるいは9が8の場合などあります。同一エリアにアクセスポイントがない場合はエリアコードが必要になりますが、これも1が必要な場合があります。また、内線の呼び出しの間隔はアメリカの場合は割に早いようです。「ATD9,,1,,242-9819」などとなります。
　それとモデムの送出レベルも上げた方がいいみたいです。

　800-848-4480がCompu-Serveのインフォメーションのアクセスポイントのフリーダイヤルの番号ですが、これはCCITTでもアクセスできるので、つい大丈夫だろうと考えていたことと、TYMNET経由で入口までは入れることから、TYMNETの間接的なアカウント(TYMPASで獲得したID)でCompu-Serveにアクセスできないということだと思うのですが、それをCompu-ServeのアカウントもNIFTYを通して取得しているので、アメリカでそのIDでCompu-Serveにアクセスできないかも知れないと思ったこともあるのでした。
　このインフォメーションサービスはなかなかいいですね。全米のアクセスポイントのリストから、さまざまのゲイトウェイのアクセス法など、なるほどというものです。
　フリーダイヤルというのは、国外からはどうなるのか知りませんが、公開されているIDは「74,74」、passwordは「Network」です。
　ここまで来るのは、結構大変なのですよ、ほんとに。これまでも、イギリス、フランス、ハワイ等で試行錯誤の連続でしたが、小生はこういう、象の鼻を触るようなことを通じて何ものかを獲得していくことが、大変に好きなのでありました。だから、旅というのはやめられないのです。
　しかし、これでなんとかアクセスもでき、これまで夜のほとんどを電話と格闘していたことから解放されて、原稿を書くことに専念できそうです(そんなことがないのは、このアップロードが遅れていることから歴然ですね)。
　しかし、すでに、Needles(24日発)-グランドキャニオン(25日発)-モニュメントバレー(Kayenta、26日発)-Cortez(27日発)-メサ・ヴェルデ(Durango、27日夜着)と旅は進み、それぞれ素晴しいものがあったのに、まだまとめることができません。
　これから、書いていきますので、ご勘弁下さい。
　いま、コロラドの快適なモーテルで、バーボンを呑んでいます。何千頭もの牛を追うカウボーイたちの姿を幻想しながらというわけです。

　夏はまだまだ続きます。
　　　　　　　　　　　緑字斎

#: 43596 S1/United States
27-Jul-89 21:02:09
Sb: #43569-Accross the USA
Fm: Jerry, nyc 76606,2524
To: AKIRA KAMITA 71721,1645 (X)

First of all, Welcome to America. And don't worry. Your English is fine and easily understood. I agree with you about the AAA. They are a not for profit company, and they their basic purpose is to help members. I'm surprised that you don't expect to visit New York City. Many people think that NYC is more fun than Chicago. It's bigger. Your trip sounds like much fun.

#: 43609 S1/United States
27-Jul-89 23:21:05
Sb: #43569-Accross the USA
Fm: Lan Sluder 76357,147
To: AKIRA KAMITA 71721,1645 (X)

Your new route sounds great. Please log on often and tell us how your trip is going.

--Lan Sluder

#: 43612 S1/United States
28-Jul-89 01:21:43
Sb: #43569-Accross the USA
Fm: Dennis Larson 75555,705
To: AKIRA KAMITA 71721,1645

Hi Akira!

Glad you made in to the United States safely!

Also glad to hear that you changed your route across the United States. You will be passing about 100 miles south of my home when passing through Minnesota.

Do keep us posted on where you are. I know the area from Denver eastward the best and can give you additional information. The best advice I could pass on to you is that the western half of the United States has the most interesting places to visit. So take your time.

After leaving the Grand Canyon, Colorado and South Dakota will be the nicest areas. And you will be seeing the best of the USA, THE GREAT WHITE NORTH!(Except its green now).

Hope you have fun around the Los Angeles area.

And about the advice on including New York City...on this place I have reservations about so I have no comment on. But here is some advice..if you do in fact decide to visit New York, do not drive there. It is well served by trains from Niagra Falls and other places in New York state.

When in South Dakota, don't forget to visit Wall Drug in Wall, South Dakota.

Dennis

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