見夢録: 2011年11月16日 展示会の紹介

私のホームページに以下の紹介をしたので、ここに記録しておく。

○11月16日: 今日はなかなか素晴らしい展示を体験できたので、ぜひ、ご紹介したい。
●その1 田鶴浜洋一郎展 2011.11.14-11.22(日曜休) みゆき画廊/銀座6-4-4 銀座第二東芝ビル2F 03-3571-1771
 田鶴浜さんは、私が土方巽さんと会っていたころに刊行した詩誌「緑字生ズ」5号の巻頭に特集した、土方さん第一の弟子である芦川羊子さんの舞踏の写真を撮影した人で、現代日本画のアーティストである。今回の展示はM100号20枚を一挙に画廊の四面に繞らし、水分を含んだ空間いわば地球の大気と海を混交させて呑み込んだ、モノクロームの、動的で静謐な大作品である。そして、私が感心したのは、それらが情緒的な(つまり意識・意識下の精神のような)レベルとは異なって、より根源的な「思考」と結びついているように思えたからである。このような質の展示はなかなか体験できないので、ぜひ諸氏にお勧めするしだい。
●その2 池田龍雄「遊びの空間」 2011.11.12-12.11(600円・月曜休) ギャラリーTOM/渋谷区松濤2-11-1 03-3467-8102 www.gallerytom.co.jp
 日本を代表する前衛アーティストの池田さんのオブジェを中心とした小品展。並みのシュールレアリストならば意識下の精神の解放を表現すれば済むのだが、この御仁、この肉体の抑圧のレベルにとどまらず、もっと別の次元への思考アンテナが躍動している。今回のオブジェ展は量子コンピューターを思わせる物質と感覚の不思議な出会いに満ちている。動きの根元にあるのはあるいは男女のペアであり、あるいは粒子反粒子のペアであり、つまるところは物理学的な対称性を思わせる思考なのである。

というアクシデンタルな具合で、一日にしてこの素晴らしい展示に遭遇できたことで、震災以来の描けない描けない病から抜け出られそうである。

また、池田氏に、次のような前書きを付けて手紙を送付した。
「ご案内いただいたギャラリーTOMでの作品展を体験しました。どうもありがとうございました。
今回はダイレクトに池田さんの宇宙論を垣間見ることができて、とても興味深いものでした。
早速帰宅して、展示についての紹介を私のWEBサイトに載せました。
銀座での田鶴浜洋一郎さんの展示の紹介もあります。」
これについて、池田さんから、折り返し葉書が来たので、その抜粋もここに転載しておく。

たしかに、あなたの慧眼によって見透されたとおり、ぼくの作品、描いたり、箱に入れたりしている作品――例えば、男と女、メスとオス、陰と陽などが対になっているような作品の下には、「相反するものは相補う」という、ニールス・ボーアのあの「相補論」が、しばしば踞っています。
世界が動いている、世界を動かしているエネルギーは、当然、そういう相互作用によって成り立っているはずだと考えられるからで、それは、ぼくの世界観でもあります。同じく、それはまた、ぼくの芸術観でもあるわけです。(池田龍雄)