未刊行詩集『空中の書』27: 水の眠り
水の眠り なでしこの散るホタル 器と器の重なり 骨のつながり かすれた色の花びら … 続きを読む
水の眠り なでしこの散るホタル 器と器の重なり 骨のつながり かすれた色の花びら … 続きを読む
鏡子 鏡子が白樺林から出てきたときには、山の端に黄昏陽がかかっていた 隈笹がびっ … 続きを読む
誘惑 (1) そもそもベルの鳴り方からして妙だった。低い微かな音でありながら、目 … 続きを読む
岸辺 忘却のアシは 切岸から突き出ている 聖なる声音をまねて 亡霊の名を呼ぶ 十 … 続きを読む
人形たち 人形が数体 稽古用のバス・ドラムの腹に 沙の涸いた喉笛に 詩人の義眼の … 続きを読む
滴 時計の針を 神話の錘りとする いまや聖霊たちの夜宴 星は 都市の遺構にまで … 続きを読む
砌の下に ――澁澤龍彦氏に 石仏の首が 際限なく転ってゆく 賽の目も数えずと … 続きを読む
人類の鉱脈 烟草のあるところにライターがあると決めてかかって、書物の蔭の烟草の箱 … 続きを読む
人類の鉱脈 ――薄倖の叔母・大迫静子に 最初に出会ったのは優しい眼をした狂女 … 続きを読む
静謐のひととき 静かな睡り、ときとして凍るような夢 幼年期の薄墨色の景色から、渦 … 続きを読む