緑字生ズ 003 (地平線が破裂する)

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地平線が破裂する
みはるかすばかりの原野
切れ間なく降る雪
夜はいっかな明けようとしない
大粒の結晶に興をそそられた少年は
首なしの天の奥を仰ぎ見ていた

そのプラスチックの詰め物の中で
雪はとどまり
ひととき降りやんだかに思えた
少年は暗黒の夜をうち眺めている
ありえもしないことだが
粉雪のような星が
全天を蔽った
流れ星すら
千里を
駆る
夢は時間じゃない
幻惑の光は
少年をめざしていた

けれども
空には厚い雲がかぶさり
原野には雪が降り積もり
眠っていたとき思いだした眠りのように
世界が埋められる!
少年の耳はその重みで垂れ下がり
少年の眸は円錐状に尖り
頬からは熱が失われていた
世界は凍っている!
少年の裸が氷のように崩れ落ち
少年の雪が舞うばかりであった