50
海面に、辷り落ちるもの
時へ向かう時の皮質
また人骨が出てきた
突堤を駈ける小犬
冬の海が流れている
夜は死に近づいているようでもある
岸壁で砕ける波
愛するふりして肩を抱く
肌がざらざらしていた
涙がにじんできた
沈没した船の上を
ウミネコが飛ぶ
船を待つ旅人
ブランデー漬けの桜桃を
ひとつぶつまんで
彼は酔う
歩痛という言葉
虫歯で死んだ女の
両足に巣くった虫歯の足よ
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海面に、辷り落ちるもの
時へ向かう時の皮質
また人骨が出てきた
突堤を駈ける小犬
冬の海が流れている
夜は死に近づいているようでもある
岸壁で砕ける波
愛するふりして肩を抱く
肌がざらざらしていた
涙がにじんできた
沈没した船の上を
ウミネコが飛ぶ
船を待つ旅人
ブランデー漬けの桜桃を
ひとつぶつまんで
彼は酔う
歩痛という言葉
虫歯で死んだ女の
両足に巣くった虫歯の足よ