顫える
顫える
顫えて粉る
薬物溶液から培養されて
骸骨まで冷える
泥かむりの青天の午後を
呪われておとせ
荒廃の糜爛の舌を
顫せて……………
小刻みに男根が感触する
爛れた郷愁や
錯覚の針痛や
人影が消える
粒れて消える
視界が顫えて
蛇がくねる
度ぎれた湿度計や
塞がれた家屋の心度や
まとまらぬ思考劇やが
繊細に顫立する
甲州術道の
ピル調節が
解放する…善意を
胃壁が顫える
十二指腸が潰瘍する
肝腎の小刻みな腐蝕
薬物溶液に浸たされて
魂顫え
魂顫え
非在が顫えて……
(1972.5.29 正午)
(初出 詩誌『立待』第8号/昭和48年9月刊/発行者・佐藤泰志 1973 )