緑字生ズ 112 (庭掃除。……)

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庭掃除。水の流れる暗黒。ふたたび、夢は時間じゃない。冷蔵庫、牛乳の中で猫を飼う。ミョウミョウチョウ、saffraan、オニユリ、gladiolus、つつじ、バラ、鏡草……土をいらう、じょろの水、葉尖からぽたりと落ちる雫かな。人生のempty。肥料にせんと小便をひっかけるほど愛す。

ゆらゆらと影の燃ゆ。睡魔の跫音……。開放されたガス栓。ストーブの焔。火災報知機アラーム。ひきしぼる喉、ただれた肌、血まみれの、青い瞳、spectrum、雪の瞬間の結晶。やさしい爆発。せつない、せつない、gardenの、感傷的な、衝撃。

火をさます鏡、永遠の持続、他人の世界。タレイアの器、地獄思想者よ。白骨化したその貌、信頼と対話、夢の現実。闇をうるおすgarden。……無意味と倣岸さの、がらくた。

自殺実験。闇の中でしかあらわれぬgarden。握りの象牙、ナマコ。陶酔。共に死のうという。優雅。不潔さ。観念的フレーズ。生活という死の行為、死という生活の行為。(闇やいうたかて、けったくそわる人間の吹き溜りやろ)という越境。

tape recorder! 感電。全世界の金属の監視。

真紅の花びらのはだら。ポリバケツの液体上の、浮游性の微粒のゴミ……。黒猫の溺死。

(滅々たる嵐のように君よあれ 苔類こけむす地下に我の待つ)錆びた庖丁。魚の内臓わた。手首。利き腕の右。鏡の中の、他人の左手。唯一の武器。金属のネットワーク。電話が鳴らぬか。けれど、gardenはほど近き……。