未刊行詩集『空中の書』05: 声の届かぬ部屋 I

声の届かぬ部屋 I

魂と肉体を分つ術を用い
あなぐらの中で修練する
静止しているものに
命を吹き込み
禁断の音楽に耳をすます
数億の眼と失笑
涸いた岩肌をたどり
亀裂の中に這入り込む
見えざるものが見え
暗い危険へと下降する
知りうべきはいま
風に揺られて
死の床のぬくもりを