〈美術衝動〉作品「Uncertainty Principle」1?4
M6号サイズの4点の作品では、珍しくひもは使っていない。
タイトルは量子論における「不確定性原理」である。
カーボンブラックの粉を樹脂で練り込んで、キャンバスに何度か重ね塗りし、研ぎ出し、絖のような艶を出す。下地にはアクリル系の絵具の色点を散らしてある。
S字形に見える図形は相転移をイメージした物質であり、これ自体ひもでもある。銀色をベースに、図形の増加とともに金色で侵蝕の変化をつけてバリエーションとした。重ね合わせと不確定性――。
また、マスキングをはずした下地はぼんやりとしたスリット(切れ目)が光の二重スリット実験を想起させ、量子の世界を印象づける。
[作成時期] 2007/05/02