寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その3)」

【skr??l】(その3) 金石 稔

昨日(平成26年3月1日)
純白の風に包まれた海
(のような時間がはじまり)
音はまったくしない
パターン化された幾種類もの鳥の
羽根が貼られた白い壁が
ゆれるばかり
ビロードのカウチのことが思われる
その上に裸の少女が横になり
誰も覗くもののいない窓から
誰か夢見がちに(だから、エロチックに)
その子を跨ぎこす
田園とそこに流れる小川をただちに
左手にずらし
場面から外す
この少女の物語は未完だから
書いたひとが描いたのは
顔を洗いつづける自分
彼の座った椅子がぽつんと一脚
平原にある
その上にだけ繰り返し秋が
訪れ
いまは翼のある豚が
座っているのが
見えるか?
明日が来て

(2016.3.4)