寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その7)」

【skr??l】(その7) 金石 稔

陽の鳩尾に深く
暗くなるひかりの指をかけ
ごぼぼと地にこぼれた
その行く末を見限り
後ずさる一本の樹になる
わけはない
めざめの跡は深々と切れて
切り裂かれた空と書けば比喩なので
どうしようもなく
《時》に遅れる
開ききったその切れ目が
閉じきる前に
すっと半身を押し入れ
ことばも何物もないのを
喉につまらせ
いっせいに
流れていく
腰折れの
川がある

(2016.4.8)