寄稿: 金石 稔 「【skr??l】(その8)」

【skr??l】(その8) 金石 稔

姿見に
素肩を見せ
ことさらに《鏡》の海をゆく
さらさら
寝返りに方位などない
おのれの名だけを
清濁両音でうちすえ
たそがれの分水嶺で
睡眠の影を絞る
おいた肌は迂回した
いくたびもの《断言》の顛末が
はいとなってまばゆい
背景に〈青ざめた〉唇がある
塩のにおいさえあしらわれて
声のコンパスで
冒頭から末尾をはかる
のっけから
なかったものばかりが
紙裏へ
消え
冷え

(2016.4.15)