連載【第083回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 3: 〈revelation〉1

 dance obscura 3

 〈revelation〉1
 私たちは、それぞれペアになっている若い男女の傍らに佇む。彼らは私たちの父と母となるはずの生命の樹木。そこにそれとしてある、ただそれだけだ。粒子と反粒子とは力の均衡、力の衝突の現場なのだ。
 そう、ここではことばを作っているのだ。それは、太古にあったはずの、新しい世界のはじまり。その夢は半年前に見たものだ。東南アジアの空で事故に遭うことで示されたもの。それは死亡日の予告、誕生の予告なのだろうか。飛行機の内部に錐揉みする世界の断片が降り注ぐ。私たちに恐怖はなかった。ここが予告の地、予告の時に違いないのだから。

 いつしか、私たちは飛行機の残骸から脱け出し、ジャングルの奥深い道を歩きつづける。周りの景観はもうすでに別の世界、別の時間のものだ。密林の中の薄暗い道は、草深いけもの道のはずなのに、案に相違して、ただ灰色の平坦な道がまっすぐに延びているだけだった。飛行機から脱出した集団はひとかたまりの長い列を作って行軍した。見上げる頭上には深い枝々が重なり、ところどころの微小なスポットから弱い光の糸が差し込んでくる。
 墜落の恐怖と、残骸と化した機体から逃れることのできた安堵と疲労感。乗客たちの心は打ちのめされ、ひどく閉ざされていた。一晩も歩き続けただろうか。集団の塊はいつの間にか間延びして、点々とした長い列となっていた。その足取りはいずれも不揃いで、動きもしだいにのろくなっている。けれども、明け方の訪れとともに、長い道の向こうに仄白い光が生じていた。ジャングルの出口に近づいていたのだ。
 道なき道には光がそそぎ、少しずつ道幅が広がり、人々も再びそれぞれの間隔を詰めはじめた。深い暗緑色に沈んでいたトンネルから、陽光の熱い光に溢れた真っ白い道はその向こうにある広場に導かれていたのだ。(つづく)

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