銀色の毛皮に抱かれるころ
初雪はふるさとを訪れたろうか
月の涙は蒼きもの
昼間からうっとうしいのに
月光と雪の白い道
月のかけらよ
粉雪に埋る夜々
長い道を歩いていた
なぜそのような無用をするのか
いつまでたっても謎である
土色の骨が指からつきでている
純白のカモメが
山の端で赤くなっている
雪が燃えているからなのか
時が割れる
吹雪、一瞬の吹雪
鬼のような目つきで神に祈る
空が晴れて窓から覗くと
光のほかには何もない
風が吹く
そのたびに涙する
雪が降る
そのたびに涙をこぼす
悲しいことなど何もない