死んだ、いまとなっては

物質の来歴を 語り始めると
十数億年間で(の漂流物)
風の中で 眠っていた(死んでいた)砂漠
少年の旅(砂嵐)の 始まりとも

母の顔をした海があり(ない)
追い求めている父(などいない)
時代の層(器)になって いるかの
中国に渡り 夜と靄の中を
おどろな寂寥が舞い(しまわれる)
熱い声音が あちこちから聞こえ
民の吐息 人類のぜんそく

公園で宿無しに 端末を抱える
若い中国のビジネスマンが ダークスーツで
(喪服だが)白い目で 監視カメラで
そんなこともない、がと

妄想障害をもたらし βブロッカーが
交感神経に 神経痛様の症状が強く
つらいもののだが 血圧が
経済が命なののか DNAには
(くうのために)

街をはずれた小舎でうめき声も
つよく DNAにとってて(増殖の、欲望の)
不良少女とちんぴらの だいじな
逢瀬なのなのか いったことはないか
浜辺が好きな母 とはいえ

前世紀が残存する土地に 人々は死んでは
(いないいる)世界経済の魔物と
神の息に いない(いない)少年が
父の逞しい胸板に抱えられ
エルマフロジットののぶといののど
歌う歌われ 魔ののものの魔