生々しい現実の世界に近いところで
現役の彼らは 子供時代を過ぎて
現実感がない 関係は
ここしかないけれど
糞尿の匂い なんともすえた匂い
ドアの隙間から覗く 一間きりの部屋の
薄汚いパイプベッド 丸いテーブル
得体の知れない臓物や肉類の切れ端
日常は生きている人間に
死と生を 日常的に選択させる
自分で選択する必要を迫る
人民の海は広く深いが
裏道に踏み込んでから
子供時代が過ぎて 現実感がない
劇的に死ぬのではなく
単なる事故に見える死を強要され
いつの間にかいなくなる
自殺を意識していても
ぽっかり空いた欠落
そんなことなどはない
家族は、子供は、恋人たちは
この日々の暮らしのなかに生きて
思い出してもみたまえ
外国人にすぎない(アジア人ではない)といわれる
自分たちの
今の場所からしかものの見えない
その後に訪れる その未来の
欠落感を予測していた
その人を