緑字生ズ 002 (Vの字になって発狂する)

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Vの字になって発狂する
碧の湖が小波のために淡い
旅のさの
夕焼空と雁の群
太陽はいま沈む
断頭台の首も――

わが対称形が歩く
秋の風がつらぬく
あてどない旅
ポプラよ、銀杏よ、楓よ、
雑木林を渡る風

いつのまにか海に出ていた
しぶきに見え隠れする巌
また島は動かず
地球が母の姿を現わす
ああ 心が凍る

秋の終わる日
人も自然も枯れてゆく
毒草が地軸の折れ目につぎ込まれる
眠りに包まれ
わがメランコリイの果て

死者もまた同じ
夜汽車よ、海と星よ、
暗い波打ち際に
想い出は寂しい

別れの花を摘む
闇の女の裸体