旧作:197302: 拒否方程式

拒否方程式
  七色分割のためのエチュードVII

国家は解体しても
関係に服従することにかわりはなかった。
  ――堀川正美「ゼロと世界工場」

憑かれたように午後をめくる
あの前史の一ページにふれても
かすかな 音(*)
不吉な電報のように
かすかな音
ガラスにつつまれた森の
深呼吸 それは
ハッピイエンドの暗転
きりたつ渓谷の濃密な暗部を背負い
胸いっぱいの虹を呑み込む
黄変する顔を吊り下げ
きな臭い空空のまたへりへ
昇っていこうか ああ
雷雹の炸裂音!

日時計の闇に示す尖塔
こだまする過去を鳴らして
まっしろに透ける巨象
あらゆる関係を虚妄の渦として
呑み込む虚妄国家 そう
回帰のための永遠の
緑の奔流! 乱反射する
噴水池のつめたい銅貨
(かたかたぜんまいが弾けていた)
なぜ ここに広場
くりぬかれた樹海に浮かぶ
虹の光圏!