鬩ぐる
鬩ぐる
水晶をゆるむ塔に篝る
赤赤く発情される蟒を夜景
煌やまぬ埠頭からの鬩ぎ
鬩ぐる
青春に諒恕させて
儀祭をためらわせ
ふるえる存在のしがらむ
メビウス環を変成されて
彎曲の
鬩ぐると
蒼光る海猫に鈴鳴り
いつか
銀濁される
喪なう夏の変貌を出会う
鬩ぎ
鵄尾の死亡通知に鬩ぎながら
つづれ織る金箔のゆるみ
鬩ぐる不可解の時流
宇宙を孤島して残酷から燃えよ
地平線にもたれる疎水
戸籍簿をゆらめく数珠ぶるえ
鬩ぐる
解放区を裸足に駈けて
あらゆる戦慄の転がされ
鬩ぎながら空洞する意志の断たれ