緑字生ズ 153 (人台の前で……)

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人台の前で尾を置き忘れた両棲類 梟のように頬をふくらませた男の死亡通知 女の躯をつたう男の汗が闇に光る ひそひそ話と私服のメモ 奴と義兄弟のつもりになるな 遺されたこもごもを理解するな ふん、ホウセンカの種め 行先を告げず、にたにた笑う運転手など糞啖え 紙幣を奪取し細かく破り捨てると、紙吹雪がひとつひとつ義眼となって首の直前で剃刀となる おお、ぴかりと閉じた子供時代、雪景色にさよならだ 男は梅雨の到来に痩せほそる