緑字生ズ 164 (サーカスの来た朝)

164

サーカスの来た朝
鏡の中によりかかるものら
ポゾランにまみれた火の鳥のあくび
泥冠りの青天の午後

美少女を拐う道化師の出現で
少年たちは続々と親になる
ミスター・カガミは
回顧録に犠牲者の名を加えると
オレンジを皮ごと齧って
唇から白い歯を外す
ああ、呼吸のたびにふれる空気の色