【skr??l】(その14) 金石 稔
某日某時刻
室内は水で満たされ
そこに〈ひかりのコップ〉という名の
緑の丘と海波のうねりで象ったブーケが
浮かぶ
ねじれながら風も吹き
名のない木立を消していく
裏側へつづく川は
闇にまぎれ
夜ごとの談笑は戻らぬ
毛物の尾だけがそよぐ
ガラス窓の向こう
パンと炎
塩と絹糸がからみほつれ
排気のための透明な翼が
欲しい
星のない夜が
その街々での
たとえば
描写Aと神秘Bとの出会いは
細くなり
ごくしてきなものへ
縮尺され
洗い流され
(2016.5.18)