風が

風が
わたしの細胞の間を
風が吹く
細胞の分子構造の間を
風が吹きわたる
分子の間を
ごうごうと風が吹きわたる
もうわたしとはわかりえない
物質と光の中を
風が吹きぬける
わたしは風となっているのだ
わたしはただ風となって
ひとしれず
去っていくのだ