いつかここに 佐藤裕子
訝しそうな顔付きで辺りを見回す自問に応じる寂しい笑い
じっとしている雪崩れる陽光を遮り影を暖める為に
水の匂いを嗅ぐと青衣襞を伝う流れを掴んでは離し零す灰
入り日を吸い黄金を映す燃やす気の迷い気の昂ぶり
千千に分かれ花片は野辺へ朽葉は土へ翅は破れ羽根は遊び
生命を借りる風もどき草花を食い露を啜り形を写し
黄色い円錐と球が並ぶ絵を描いたでしょホームと付けた題
酷く哀しいことがあった悲しい理由を覚えていない
海から来た時は髪に白蝶貝夜明け前を抜けた襟は曇る白金
瞳は誰とも出会わない何を探していたのかさえ曖昧
小さかったベンジャミンが大きくなったでしょうこんなに
賑わう街は上空まで明るいポインセチアシクラメン
菊花が身を縮め松の針先を弾く庭は明るい降り出した綿雪
昨日山葡萄の蔓の輪にリボンを巻き飾った松毬と柊
一昔前二昔前丁度ここに坐り待っていたと云う女の人の話
じっとしている雪崩れる陽光を遮り影を暖める為に
水の匂いを嗅ぐと青衣襞を伝う流れを掴んでは離し零す灰
入り日を吸い黄金を映す燃やす気の迷い気の昂ぶり
千千に分かれ花片は野辺へ朽葉は土へ翅は破れ羽根は遊び
生命を借りる風もどき草花を食い露を啜り形を写し
黄色い円錐と球が並ぶ絵を描いたでしょホームと付けた題
酷く哀しいことがあった悲しい理由を覚えていない
海から来た時は髪に白蝶貝夜明け前を抜けた襟は曇る白金
瞳は誰とも出会わない何を探していたのかさえ曖昧
小さかったベンジャミンが大きくなったでしょうこんなに
賑わう街は上空まで明るいポインセチアシクラメン
菊花が身を縮め松の針先を弾く庭は明るい降り出した綿雪
昨日山葡萄の蔓の輪にリボンを巻き飾った松毬と柊
一昔前二昔前丁度ここに坐り待っていたと云う女の人の話
(2017.3.25