連載【第082回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: dance obscura 2: 〈cogitation〉

 dance obscura 2

 〈cogitation〉
 思いとは忘れ去られていくのだろうか。それとも深く根を張ってまた花を咲かせるのだろうか。私は、そのいずれも正しいし、両者とも誤っていると感じている。なぜなら、それは形を保っているからだ。仮に、思いを抱いた意識がその範囲を広げて、透明ではかない枠組みを作り、それをいつしか壊していくことはごく自然に考えられる。その枠組みは簡単には戻らないし、通常の考え方では復元できないと諦めるべきである。しかし、意識という消え去っていく状態を考えるのではなく、思考という物質の構造を見るとき、思考が長い時間と長大な回路を旅して、再び素になる固まりを作り、その固まりがさらに結びつき、次第に復元していくことがないとは言い切れないのだ。なぜなら、思考は意識とは異なって、ものの始まりになることが可能な、物質の因になるからだ。それはことばの発生を見てみるとよく分かる。ことばは、物質そのものが見ることによって、作られてきたからだ。それは神秘的な関係性から生まれたのではなく、物質が物質を見ることによって相手と感応して、相互に作り上げてきたものなのだ。ことばとは粒子の相互反応、光の生成のことなのである。(dance obscura 2〈思考〉)

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