緑字生ズ 039 (熔接工の家を訪ねると)

39

熔接工の家を訪ねると
小さな煖炉に
ヴァシリキ式の陶器
燃える水晶時計

雪という字のある娘が死んだので
雪という字のある盲が死んだので
雪という字のある記憶が死んだので

煤けた顔を拭うと
その男は呟いた
たぶん偏執狂であろう
いたわしい別離であったろう