〈美術衝動〉「解放衝動の探求」I,II
制作: 2006.4, oil, canvas, 130.3.3×162.0cm 2点
2006年の最初の大作2点。
燃え上がるようなオレンジ。沈潜しつづける暗いオレンジ。
オレンジの向こうには抜きがたく異質の空間が貼りついている。
だが、それは平面を剥ぎ取った裏側の世界でもある。
また、暗部には文明の廃墟、建造物の名残りのような混淆した物質の蝟集する影。
ひもは、このような多層的な世界を縦横につらぬき、ゆらめいている。
光の焦点となったある瞬間、量子と見まごうかたまりが異物のような色彩を放って浮かび上がる(I)。
別の作品(II)では、光の焦点さえ危うく消失し、そこには量子は存在しない確率の谷間であったのか――。
われわれの肉体にある根源はいずれの運命に存在するのだろうか?
[作成時期] 2007/05/10