〈測定ノート〉200201: (過去を)

(過去を)

過去をふり返ることが恐ろしいことのひとつ
未来はあるかないか分からぬから屁でもない
過去は戻ることができぬから
取り返しのつかぬ絶望に充ちている

死ぬときのことを考えると
息ができなくなって
失われたものをも
あわてて 掻き抱くような
いや ただ物理的に苦しいことの恐れを
イメージする
しかし、死そのものは未来と同じに
ただの楽観だ
動物的な苦しみも
冷静に考えるならば
一瞬の失神に通ずるだけだ

死はすべての過去を失うから
そのことの怖さが物理的なものと結びつくから
ただ 切ないのであって
死そのものはすべての一瞬の消失
一瞬の永遠の消失
ただ楽観的な無

[作成時期] 2002/01