楽隊が悲しい音楽を奏で出した。薄青色地の「全米中国学生、学者連合会」の旗がゆっくりと掲げられた。旗は赤、黄、青、の三色で、「中」という文字色をデザインし、中心部は松明になっているが、それは天安門の民主の女神が掲げていた火を受け継いで、勝利の日まで燃えつづくことを象徴している。
高くてよく通る声で厳家其教授はユーモアたっぷりに語った。「私はただ一介の理論家と科学家になりたいだけで、政治をやるつもりは全然なかった。しかし、時代と歴史の必要に迫られて、祖国と民族の危機に際しては、民主化を最後までやりとげなければならないようになった」と、自分の考えを披露してから、次のように指摘した。「これからの中国政治は四つの過程を経ることになる。第一は李鵬政権崩潰までの暗黒な時期である。これは長くとも2、3年であろう。その理由としては、なによりもまず李鵬政権のファシスト式の大虐殺で社会の諸矛盾を激化させ、大衆から強く反感をかったことである。そして、大虐殺後の数年間に、経済危機が起こり、それから一連のピンチが来る。鄧小平は江沢民、李瑞環などを担ぎ出して、楊尚昆、李鵬との間で政治的勢力のバランスを取ろうとしているが、それは支配層内部の新しい矛盾と争いを引き起こすに決まっている。そして、その矛盾と争いは絶えず熾烈になる。さらに海外にいる華僑、留学生たちのいろんな形の闘争と宣伝戦の影響で、中国国内の三分の一以上の町の市民に事件の真相が分かるようになる。それは李鵬反動政権を根底から掘り潰すことになる。第二の過程としては、李鵬政権が崩壊したのちの非鄧小平(毛沢東)時期である。その時期においては、天安門事件の再評価をするが、新しい流血事件と衝突が爆発する可能性もある。第三過程は政治の多元化時期である。複数の新しい政党が結成され、政治がもっと自由になる。第四過程では、中国政治体制は終極的に連邦制へと進行し、新しい憲法で公民の基本権利として財産権を定め、天安門広場に新たに『議会ビル』を建てる」
会議中に、柴鈴(保衛天安門広場指揮部総指揮)が「アメリカ国民賞」の受賞者に選ばれたというニュースが入り、会場からまた破れんばかりの拍手が巻き起こった。在米の中国人留学生代表はアメリカの有名な民主主義運動家J・ジェーシーとキング博士夫人から手渡してもらったメダルを両手で掲げて、議長席に上がって、柴鈴(会議に参加していないが)に熱烈なお祝いの言葉を述べた。