未刊行詩集『空中の書』02: 満月

満月

夜は来た 妖しい吐息が裾野に広がってゆく 頭上に爛々とかがやく紅蓮の月 おお不吉な満月よ 腔腸動物のように毒液を撒きながら人民を失神させる