しかし物質-反物質が量子状態の性質をもつために、爆発的に分割されてもどこかで復元するに違いない。
外延する力はあるサイズでリバウンドするが、それは外延的な力がそもそも備えている復元力として反転するからである。宇宙の原発状態という中心に戻ろうとする、物質間の紐付けられた力のために。
この反転の力にマイナスインフレーションが確率論的に収束すると、プランクサイズの原発状態の物質の内部に取り込まれていく可能性がある。つまり、高エネルギー状態のマイナス領域、虚空間が現れ、ここに物質そのものをすべての宇宙過程とともに、あるいはそれまでの量子効果で生成された余剰の宇宙過程をも吸収するのである。ここにブラックホール生成などの可能性もある。
さらに、そのようにして余剰次元が誕生する。次元の増殖のヒントはこのような過程にあるのかもしれない。また、ここから、外延的に増殖していくということと、帰納的に詳細化していくこととは空間的には同一のものとみなせないか。外部に増殖するということは、内部に折りたたまれるということになるということに。
無という状態から、空という高エネルギーのかたまりが量子論的確率で生成される。
このとき何もないところから状態が突出するのであるから、無から引き離す天文学的なエネルギー量が必要である。
そこでは、無の生成箇所に収束している虚エネルギーがすべて空の状態に遷移するのかもしれない。