不眠の森――「dance obscura(仮)」へ

 別のケースでは、触手を差し込み、内容物質を摂取するという原始的行動の場合もある。また、分泌物質を滲出させて、表面を取り込んだり、突起に化学反応を生じさせたり、電解的な信号により攪乱させたりもする。
 そして、ここでも肉体のゆらめきが叫ぶ。
――おれはすでに宿主に叛乱している。棘そのものである肉体の力で細胞に入り込み、あらゆる野望を奪おうと。
 それは、癌細胞――生体に含まれながら、独自の生命活動、攻撃をするもの。

 眠れぬ者たち――。
 サディ現象「自分が肉体のゆらめきなのか、意識のゆらめきなのか、そのどちらでもいいし、そのどちらでもないともいえる。たしかに細胞は細胞膜という皮膜とその内側の物質であるから肉体の基本単位だといえよう。けれどもその内部にあるものは物質ではなく幻想の内容物であるのかもしれない」