草稿●夢のつづき

 肉体に付随する基底意識に対して、抽象化されることで身体機能として重なりつづける仮想・表層意識は、統合体意識として身体、人格、精神の深部を形成するのかもしれない。
 この統合体はなまの原始的な肉体とは別に、成長する身体過程の記録とその集積というプロセス・ライブラリのような抽象的上位構造を形成する。これは概念構造であるが、身体システムの一部であるから身体の消失とともに死滅する。それこそ死の果実であり、失われるべき過去の一切の記録である。
 生命体が一個の生命樹として成立する根拠が、この生物的操作としての細胞記録である。つまり、細胞記録こそが一本の生命樹の存在理由であり、目的だといえよう。

 基底意識は表層に対して基底層を構成していると考えるとすると、深層意識とか深層というものはただ暗部につきまとう幻想性なのかもしれない。つまり、暗部という重積される解釈学があって、これらが意識の核だという古典的な心理学を構築しているのではないか。この心理学においては情動とか欲動は生理的場面での選択を実行するのかもしれないが、もし意識がその選択決定をする根拠、エネルギーを持つならば、このエネルギーは物理的エネルギーとは異なる衒学的エネルギーということになる。
 また、この生理的エネルギーが物質的な過程を持たない幻想的な代謝物であるとすると、エネルギーの発現とか発火などという物理現象を実現できようがない。