老女の容貌は気品のある鼻骨を中心にしてよく整っている
どこかで見覚えのある顔だ
だが過去は弔われつつある
黒塗りの柩の中で老女の唇は青みを帯び 昔の栄耀を刻みつけた細い裸体は透き通るように白くなる
かすかな呟きが唇から洩れようとするが すでに力尽きただ頬の筋肉が顫えるばかりだ
そして異様に大きく窪んだ碧の瞳がその奥にちらちら赤い炎を揺らめかすと エルドレをじっと凝視るのである
その最後の瞬間にエウスタキー管は開かれたのであろうか
尋常ではない言葉の形に打擲されてエルドレは一挙に狂乱の影を帯びる
荒々しい声で少年と少女たちに向い合って並ぶように命じると よく
彼らの無垢な躯はみるみる
エルドレは素裸の乙女たちの尻を情容赦なく鞭打ち 前と後ろとを抜いて気をやりながら腰の短剣で豊満な乳房や美しい首筋をひと振りで刎ねてしまう
さらに少年と少女たちにそのどくどく溢れる血を貪るように命じ その血と鞭の饗宴の中で次々にまだ硬い躯を持つ子供らを襲い 肉と鋼でできた二種類の剣の餌食にしてしまうのである
それから祭壇を蹴倒し その火が脱ぎ捨てたばかりの衣から神々の壁画に燃え移るのを確かめると やおら柩の中に躍り込む
エルドレは最前死んだばかりの老女を凌辱する
まだ生温かいよく業を極めた腟と肛門の中におびただしい液を注ぎ入れると 老女の躯は死の姿のままみるみる若返る
おお何という素晴しい悪意
その至上の美貌はまさしくエルドレの実母の俤である
猛り狂う逸物は だがなおも激しく漿液を噴き出すのである
少女の愛らしい姿から無邪気な子供へと さらに純白の嬰児へと退行し 聖なる胎児の歴史を逐一回想してゆくと それらの肉は消滅し エルドレの躯にはただどろりとした邪悪なる液体が残されている
柩の周囲に崩れている屍体が一斉に腕を上げ天井を指さす