未刊行詩集『strandにおける魔の……』04: 魔の系図

魔の系図

I 翼のある種族

マンドラゴラの繁る
夕暮れの赤い空
凍りついた眼球が降りしきる
うらがえる気圏
とどこおった太陽が
くりぬかれた内臓のように
海の中心で
アルコールを醸し出している

首の羅列
歯を剥いた子供
丘の尖塔に架かる鐘が
その声帯を切り裂き
ひびわれた古代彫像が
睡りの夢を破られる
血にまみれた唇
ころがる泡

首狩族の暗黒の肩
金細工銀細工の欲望の武器よ
健康な水夫
その妖しい刀
荘厳なる金切り声

マンドラゴラの繁る
動脈の熱い弁
肥大して瀑布をつくる
大腿骨や密生する毛の砂漠
むしられた鳥獣