擬宇宙論:5520: 重力のリバウンド

重力のリバウンド

重力とは引き合う力ではなく、引き離す力ではないか。外へ向かう力、分割する力である。
無の中から確率論的に物質(力)が発生するとは、無の状態から引き離す途方もない力、無を否定する力が必要となるに違いない。
あるいは、無である状態からすべてを奪い取って、無でない状態を無理やり創り出すための、無の全エネルギーが物質化するということではないか。これは、無という全エネルギーの虚状態が発火するということになるのだが。
このときの、引き離す力、あるいは無でない状態を作り出す力は、遷移したこの新生の存在にかたまりとして凝縮する。つまり、このかたまりは全宇宙のエネルギーそのものとなる。
それは、その外部に何も持たない、無さえ持たない全存在である。ただ内部に全エネルギーを胚胎させ、そのサイズさえ持たないもの。いや、サイズは比較すべきものを必要としているが、そのような対象もなく、それ自体が全体の一点として。
そのような形式で、それは量子状態をもつ。つまり、量子状態をつくるエネルギー、確率の全エネルギーを自らに抱え込んでいるわけだ。
そして確率論的に反物質が生成されるとき、自らの高エネルギー状態の力によってその発生の原因となるのだ。対称性として反物質を生成することで、初めて外部に物質を持つ原発的な宇宙像が誕生するのだ。

物質が反物質を生成するとき、あるいは物質が分裂するとき、それぞれのエネルギーは分割される。物質間の重力も分割される。
量子状態において、ある確率でインフレーションとして増殖的に分割・拡散する。そのインフレーションは重力をも同時に拡散するのだ。
1の重力は10-nに詳細化、分散化する。だから、重力は外に向かって細分化し、弱化し、物質の間隔は離れていく。
このとき重力は外延的な力である。しかし、その総体は原発的宇宙像の1という値だ。つまり、この1の力が全体であり、宇宙そのものの重力であり、そのサイズは原発状態である空というプランクサイズなのである。