剥ぎ空の ぼくの唇
紫変の語感が破れてゆく
爪を立てて むしろ
陽の稜線の
底知れぬ 顫え
ぽーん と
白塗りの下駄の歯を
〈ぼくは〉
風の裂目に
蹴りあげた
〈遊泳禁止区域だよ そりゃあ〉
〈旗が泣くから ぼくの勝手〉
暮日は幾分か昇りおりしながら
幾度も欠けつづける
〈薄めの日ざしだね〉
〈そのまに 透明の血の管が
ちくちく 彩るさ〉
破れ旗の向こうに
翔んでるのは あの
暗赤の〈声〉の、うら翔び
脳の芯は
戦慄の奇妙なくねりに
悶々と伏している
破れ天から降る
脂じみた指紋の数々
一枚一枚めくりながら
占おうか ぼくの語の裔
午後零時
豚の胃膜が延びる それから
刻を打つのと 同時に
一瞬一秒の隙もなく
ひと垂れの 雨線