襞おとし (実験詩集「浣腸遊び」, 1974)

辿りつく者
血の道筋を見失う

荒涼の河口
氷塊に閉ざされた
海原に
帆船の残骸

錐揉んで
まっさかさまに 口あける
魔の淵 血しぶきの渦巻く
爽快な海鳥たちの季節めざし
気象条件は 切り取られる

血の道筋は
低くうね返すとともに
確固とした深呼吸によって
軟らかな球に変身し
瀑布を踏みつける
一本の足ともどもに
閃光を発し
まばゆい朝日を
呑み込もうと
いま 見事に
炸裂する

襞おとし