宛名の魔(名宛ての魔)
宛名が
(背筋を ぞっと)
指先から離れ
(指先から離れる指の)
かつて見たこともない星座が
(通勤ラッシュ・非常用コック・滾るpussy)
ぽつねんとして
(火を吹く果実の)
果実の 素晴らしい棘が
剥き出し(の)に 街路を(突き抜け)貫通する
(眩く垂れつづける白昼)
午後
そいつ(土色の眼)は広告依頼主(が)として
(列車に対面している)
列車に対面しているではないか
( )
死体の足裏
舐める(舐め回る)
草色の毛を(毛叢を)灼き尽くすと
(白骨のように枯れた波しぶきが)
枯れた波のなみだ
桃色の貝柱を開いていく
(叩きつけられる桃色の貝柱)
(南半球の女たち)
南国の女の
乾いた頬
(吊られる)ぶら下がる
天然の首だ 頭だ 爪先だ
(足腰のこしかた まといつく冬)
冬が這う(這いつくばう人民)
禿山の頂きの黒い銃口は(が)