未刊行詩集『strandにおける魔の……』09: strand における魔の……

透きとおる方舟
綿密な計画という頭痛
眼の形をした星が
膜の重なりをすりぬけて
蛋白 蛋白
こぼれて燃える
肉の連鎖

strand における魔の
おだやかな吐息
呪われたひとがたが
黒い水に溶けてゆく
全身から滲み出てゆくもの
思い出せぬもの

嵐の中に
網を投げ入れ
名前の数だけの
生命を手繰りよせるひとがたよ
すでに 火山脈は
水の殻に包まれている
この浜辺を境界にして