ある男の日記 (時間洗濯屋)

どの人種の子供たちを殺戮するかで会議が揉めているのだ。何をしようというのか。鼻歌を口ずさみながら、明白だ、明白だ、ミンパイだと考え、知らない顔をして。彼は子供たちの愛する乳房に貪りついているのだ。
もう、バスに追いつくことも、歩き続けることもできない。彼は道端に放り出される。泣こうが喚こうが、耳を貸すものなどいない。だから、彼は考える。

世界は、どこをさすらおうが変わることなどない。世界の始まりが一点なら、その中心はいつまでたっても変わることはない。すべてが、つねに中心から等距離なのだ。
先に行こうが後に戻ろうが、居場所は変わらない。地平線を越えたところで振り子のように循環しているだけだ。いくら哀れな吼え声を立てても。

頭の禿げた「時間洗濯屋」を自任する男は、その街で一番高い金字塔に登って、狼をまねていつまでも虚空に吼えつづけている。