バッドランドから 佐藤裕子
単調な声音は綴りに換え流れ出す頬骨の辺りで心許ない靄
大理石になる水を雲と言い大伽藍と指す遥かな岩山
螺旋階段を上った展望室の窓に息吹きを受け変色した地肌
満月の肚は純金で肥え横顔に靡く銀糸滑り落ちて肩
淡淡とした口振りが禁忌を遮る為よりも苦痛の余りならば
風下に立ち受け取る種大角羊が産む肉と豊かな毛皮
擦れたざら紙は記録する山の男たちは空を追われ座礁した
割符を出す商人たち九十九折を行き交う様様な言葉
更紗に包まれた花嫁は贈り物が溢れる櫃で従順に身籠った
揚羽のような嬰児鳥の眼を持つ娘空の女に似せた姿
やがて瘴気が追い付く地上の時間の千年は過ぎ始まる千年
雅歌は語り羊は滅び夢になる町は初めからなかった
硝子があることを忘れ伸ばした指に冷気が棘刺す鋭い叱咤
案内人が身に着けた古来の織物は毛羽立ち羽毛の腕
髪は煙り寄り掛かる壁は苔生し擡げた爪先から始まる石化
大理石になる水を雲と言い大伽藍と指す遥かな岩山
螺旋階段を上った展望室の窓に息吹きを受け変色した地肌
満月の肚は純金で肥え横顔に靡く銀糸滑り落ちて肩
淡淡とした口振りが禁忌を遮る為よりも苦痛の余りならば
風下に立ち受け取る種大角羊が産む肉と豊かな毛皮
擦れたざら紙は記録する山の男たちは空を追われ座礁した
割符を出す商人たち九十九折を行き交う様様な言葉
更紗に包まれた花嫁は贈り物が溢れる櫃で従順に身籠った
揚羽のような嬰児鳥の眼を持つ娘空の女に似せた姿
やがて瘴気が追い付く地上の時間の千年は過ぎ始まる千年
雅歌は語り羊は滅び夢になる町は初めからなかった
硝子があることを忘れ伸ばした指に冷気が棘刺す鋭い叱咤
案内人が身に着けた古来の織物は毛羽立ち羽毛の腕
髪は煙り寄り掛かる壁は苔生し擡げた爪先から始まる石化
(2016.8.4)