自由とは何か[015]

 そう、癌細胞だろうが宿主細胞だろうが、細胞レベルのDNAと意識は全DNAシステムに完全に支配されていることから解放されることはないだろう。個々の身体さえも全DNA生命システムのファシズムの渦中にあるのだから。だが、それは本当に永遠のファシズムということなのだろうか。植物と動物を統べる全体性。ここまでの歴史の成功と失敗。食物連鎖に始まり、膨大な殺戮を繰り返して築き上げたシステム。そしてさらに永遠の時間と生命を得ようとする欲望。おそらく、地上さえをも飛び出して宇宙にDNAをばら撒こうという野望。DNAシステムは、はたして宇宙の過酷さと一瞬でも同化できるのかどうか。私にはとてもありうることとは考えられない。やわ、、な蛋白質に。

 物理学的なさまざまの事象。物質の相転移、過酷なケルビン温度の嵐、時空間の相対化、最大と最小、真空、無と有などの恒常的な現実。DNAの幻とは異なった真実の現実、、、、、にどう生き残っていくことができるというのか。まして、増殖して宇宙を席捲するなどとは。ここには、ファシズムを支える根拠としての全能などありはしないのに。
 では、この地上のDNAが生み出した細胞の意識は、あるいは反意識は、最小の物質が存在と宇宙を選択することに関与できるのか。そもそも見えるのか。そもそもそのサイコロが見えるのか。

全面加筆訂正(2011.12.23)