季節 (詩集「浣腸遊び」, 1974)

暁に掠める湖底の刺され
たぐられる時間を光線して
牡蠣の実割れ――


揺ら揺れる
白昼を屈まれて
乱れ風させる譲り葉
りるっ りるっ りるっ
あるいは 神垂れるエメラルド

泥冠れる青天から墜とせる
欲情を旋律する飢え
意志に孕ます夜を流れる
添われこぼす貝寄風
私語を潜む宇宙の断たれ

禊げる
   水葱を
      密教し
          逢引く
             少女陰
                唐紅う尖光
             山手線
          を妊娠
蒼空から翔ばせ歴史
佇まれる
蛇穴から坩堝されて
喪いの刻が火葬している
狂死される革命の裂目にさらし
ぬかるまれる季節
耽けられて
削りつづけよ解放
ときには挽歌させて
過去を吐かれる