連載【第003回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: Invisible 3

Invisible 3
 このことは次のような問いかけでも同じである。「私にはあなたが見えるのか?」「あなたには私が見えるのか?」私はあらゆる場合においてあなたを見ることはできないし、あなたは私を見ることはできない。
 では、私はあなたに問いかけることは可能なのだろうか。また、私はあなたに問いかけずに私としてありつづけることが可能なのだろうか。もっとはっきり述べるなら、私が私に問いかけるということはありえないし、それは不能な事象なのだから、あなたに問いかけることが不可能なら私は絶対の沈黙を余儀なくされる、私のあらゆる問いかけが存在しなくなる。


(見えざるもの)
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連載【第002回】: 散文詩による小説: Dance Obscura: Invisible 2

Invisible 2
 来たるべきものはたしかに「部分」のうちにあるのだろうし、あなたはその来たるべきものに違いない。しかし、来たるべきものは来ることはないし、いつも私の外側にあるものだ。
 また、それは無垢というものと関係があるのだろうか。私が無垢でなければあなたが無垢であろうし、あなたが無垢でなければ私が無垢であるということなのか。そもそも無垢であるということは許されざるものなのか。そして、そのことが侵襲される理由であるのか。それはこちらとあちら、私とあなたがひとつになることを拒むもの。
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連詩 迷い未知 三

おはよう!
お母さんが亡くなってしばらくして、わたしの誕生日にわたしも同じもの見たよ。おかあさんだね。

朝から、現実にありえない物質の意志と光が生きているんだ。
私は、そのようなあの世があると思う、しかない。

覚醒した状態で見ているからね。
こんな、明確なのは初め 続きを読む

連詩 迷い未知 二

 ニ

重なった記憶はあまりに乾涸びて、欲望に溢されるかどうか。

ああ。夢の中でさえ、俗事に囚われてしまった。覚醒した状態で見ているはずなのに。

こんな明確なのは初めてだ。

あ、この話を鏡子と電話アプリでトークをしていると、光の玉が左目の端に顔を出した。

あのころから、わたしは心からテロリストになることを夢見ていた。

こんな当たり障りのない告白

もっとも小さなものこそ世界の入り口だとささやくと、瞳を光のかたまりにして、きみはぼくの眼の中に宿り始めた。そうだったね。

現実にないものが小さないくつかの光になって、目のまわりを三十分くらい回っていた。

シャボン玉のような泡が眼の端からこぼれて、金色の球体となって浮かぶ。

すごい! その数とその不規則性が凄
いのだ。

そうなんだね。お母さん、お父さんの側にいるよってことだね。 続きを読む