未刊行詩集『strandにおける魔の……』05: 忍び笑う魔

忍び笑う魔

夜のふかい残響
くらい奥深さから
霜のはなばしらが
うすく灼けついて
冷気をさそう
夢魔の
けだるいめざめ

たちのぼる細い光
腺病質の地平線に
くの字にまじわる
おぼろな太陽
その
影法師を涜して

一番鶏が啼く
呪われたものの声
森のけたたましい祭が
時の枝を渡っていく
磨硝子のように
雲がひとすじ流れていくと
平静をよそおった風が
純白に結晶する悪意をそそぐ

糊で貼られたように
宙ぶらりの朝が
くっきり停止している

いつのまに侵入していたのか
忍び笑いの魔は
光を日の出のまま
硬直させている