忍び笑う魔
夜のふかい残響
くらい奥深さから
霜のはなばしらが
うすく灼けついて
冷気をさそう
夢魔の
けだるいめざめ
たちのぼる細い光
腺病質の地平線に
くの字にまじわる
おぼろな太陽
その
影法師を涜して
一番鶏が啼く
呪われたものの声
森のけたたましい祭が
時の枝を渡っていく
磨硝子のように
雲がひとすじ流れていくと
平静をよそおった風が
純白に結晶する悪意をそそぐ
糊で貼られたように
宙ぶらりの朝が
くっきり停止している
いつのまに侵入していたのか
忍び笑いの魔は
光を日の出のまま
硬直させている