季節 (詩集「浣腸遊び」, 1974)

彷える
甲州街道をメフィストされよ朝未明
ゆらめかれる非在の分だけを空孔
抉られて首都甲状腺に吊るされ
酩酊の碧を群げる樹皮よ反目
抛れる季語を重重くふるえ
りるっ りるっ りるっ
海星られる神さみだれ
枯れつづく意志から
死病ベーチェット
        される呪詛の滴れ
        睡りに記憶からめ
        虫干しなど羽抜る
          りりりり四季
            魂祭れて
              姫姦
山わらえる白檀を失跡されて
小刻む残照から鏡まれて
主辞に埋葬せよ時制テンス
金属するフリージアの潤め
繰り糸の移ろわれ

あるとき
夢が試されて……

〈動詞系〉は己れ自らを抽出して〈主格〉を
支配すべきである

(おれは母音の動詞群を発明した!)

木下闇する難聴
あけおもてる濃霧に昇りはじめて