底なしの過去 透明な陰唇
ひとことふたことみこと
そのときのぬるぬるした摩擦音は
語を急きあげる語
唄の剥がれゆく弔電に
見ず知らずの者の碧を呼ぶ
と 記されて
影を吐いて
星屑に繋げる
《挙げるトルソの斜孔に
蛆虫のさらし糸が 激越な
ことばに溶けながら
ぶらさがっている宙を
星座に 鋲打てる》
唄ぶりのかすれ
海底植物に注ぐ
彎曲の墓地の四角い空
貌の転がる呼び水のうすれ
濃密な
甲高く 地の底に
吐きおとす
語の撒かれる血の畑作に
屹立しかかった風の
いつのまにか 発熱の
毛根をそよぐ
翔び流れるのは
舌ずれの唾液
ばらばらに殺がれて
時へ向かう時の皮質
渦をわたる眼のふち通って
ひえた下腹の水流